不動産投資で民泊をやりたいと思った時にまず知っておくべきこと

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近年はインバウンド需要の盛り上がりから「空室を民泊にすれば収益が上がるのでは」と考える投資家が増えています。

しかし、実際には立地や建物条件、法律の制約、運営コストなど、いくつもの壁があります。

民泊を運営できる条件が揃っていなければ赤字になることも珍しくありません。

この記事では、民泊が利益を出せる理由や参入のハードル、収益計算の現実、向いている投資家とそうでない投資家の違いについて解説します。

【執筆者】東将吾

株式会社Vision Bridge 専務取締役 /COO
不動産コンサルタント

東 将吾(Higashi Shogo)

大学卒業後、新卒で東証一部上場企業の商品企画、マーケティング職を経験。その後、大手出版社にて企画営業に従事する。2017年に売買仲介をメイン事業とする不動産会社に入社し、賃貸管理事業部の責任者としてゼロスタートから投資家100名超、約2,000戸の物件運営に携わる。その後同社執行役員に昇格し、複数の新規事業を牽引。IT×不動産、企業DXを推し進める。 2022年に株式会社Vision Bridgeを設立し専務取締役に就任。

民泊が利益を出せる理由

民泊が利益を出せるのには、はっきりと理由があります。

しかし、多くのオーナーは「空室があるから民泊に変えれば収益になる」と考えがちです。

実際にはそのように簡単なことではありません。


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民泊運営で利益が出るのは、立地条件と建物条件が整っている場合に限られます。

さらに細かく述べると、民泊が利益を出せる理由として次の2つが挙げられます。

確認しておきたいポイント

・理由の9割は「立地がいい」から
・間取りや建物形態が「場所の需要」を満たしているから

以下からは、民泊が利益を出せる理由を一つずつ見ていきましょう。

理由の9割は「立地がいい」から

民泊はホテルや旅館のように、基本的に「旅行者がその場所を訪れる理由」がないと成り立ちません。

観光地や空港沿線など、訪れる方が多い場所では民泊の予約も入りやすく、安定した収益につながります。

反対に、住宅街や観光客がほとんど来ない地域では、部屋を整えても空室が続きやすいです。


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たとえば、熱海や箱根といった観光地では1泊3万円でも予約が入ることがあります。

しかし、郊外の住宅地で同じ料金を設定してもほとんど予約は入りません。

立地条件を無視して民泊を始めると、毎月の運営費ばかりかかって赤字になる危険が高まります。

間取りや建物形態が「場所の需要」を満たしているから

建物の形や部屋の広さも、収益性を左右します。

旅行者は一人よりも家族やグループで利用することが多いため、ベッドを複数置ける広さがあるかどうかが重要です。


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狭いワンルームでは一泊あたりの料金を高く設定できません。

さらに、清掃や光熱費が回収できないケースも予想され、収益が頭打ちになりやすくなります。

また、マンションの1室だけを民泊にするケースでは、他の入居者との摩擦が起きやすいもの。

それどころか、マンションの管理規約で民泊運営が禁止されていることも多いです。

そのため、一棟まるごとや戸建てでの民泊運営が現実的です。

もしこうした条件を無視して狭い部屋で民泊を始めると、客単価が上がらず、諸経費だけがかさむだけとなってしまうことも。

放置してしまうと、赤字に転落するおそれもあります。

民泊参入にはハードルがある

民泊は空室を埋める方法の一つとして注目されがちです。

しかしながら、実際には次のような壁があります。

確認しておきたいポイント

・法律・規制
・初期投資・運営コスト
・収益計算

以下からは、民泊運営におけるハードルそれぞれについて、詳しく見ていきましょう。

法律・規制

民泊は誰でも自由に始められるわけではありません。

「住宅宿泊事業法」という法律があり、年間で運営できる日数は最大180日までと決められています。

この法律において「住宅宿泊事業」とは、旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第三条の二第一項に規定する営業者以外の者が宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業であって、人を宿泊させる日数として国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより算定した日数が一年間で百八十日を超えないものをいう。

引用元:e-Gov 法令検索「住宅宿泊事業法第2条3項」

180日という日数制限のため、フル稼働のホテルのようには利益が出にくいのです。

さらに、簡易宿泊所として許可を取る場合には、消防設備や衛生管理などの基準を満たさなければなりません。


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こうした規制を無視して運営すると、行政から営業停止を命じられたり、近隣住民から反発を受けたりします。

実際に違法営業で閉鎖に追い込まれた事例もあるため、法律の理解と手続きは避けて通れないのです。

初期投資・運営コスト

民泊を始めるには、物件を購入するか借りるだけでなく、改装や家具・家電の準備も必要です。

エアコン、ベッド、冷蔵庫などをそろえるだけでもまとまった金額になります。

さらに、予約サイトへの掲載費、清掃やリネン(シーツやタオル)交換の費用、光熱費、管理を任せる場合の委託料など、運営が始まってからも支出は続くもの。


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コストを軽く見積もると、売上が思ったほど伸びなかったときに赤字が積み重なります。

「初期費用を少なく始めたつもりが、運営費で毎月数十万円が出ていき、結局やめざるを得なくなった」という声もあるほどです。

収益計算

初期費用や運営コストを理解したら、次は実際にどれくらい利益が残るかを数字で確かめる必要があります。

収益計算は次の三つの流れで考えるのが基本です。

確認しておきたいポイント

・資額と運営費の大きさを確認する
・稼働率と客単価の変動を想定する
・投資回収年数を試算して、続行か撤退かを判断する

以下からは、収益計算の三つの観点を順に説明します。

投資額と運営費の大きさを確認する

まずは、どれくらいの資金を投じるのかを整理しましょう。

改装工事や家具購入には数百万円単位が必要になることもあります。

さらに、毎月の清掃代や光熱費、予約サイトへの手数料も加わります。

こうした数字を事前に洗い出していないと、後から「こんなにお金がかかるとは思わなかった」と資金が回らなくなる危険があります。

稼働率と客単価の変動を想定する

収入は、次の計算式で決まります。

「客単価(1泊あたりの料金)」×「稼働日数」


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たとえば1泊1万円で月15日埋まれば15万円の売上です。

しかし、閑散期には数日しか予約が入らないどころか、一切予約が入らないこともあります。

観光シーズンだけを基準にすると、オフシーズンに赤字になりやすいです。

安全な見積もり、普通の見積もり、強気の見積もりと複数のパターンで数字を出すことがおすすめ。

あらゆるパターンを想定しておかないと、想定外の収入減でローンや運営費を払えなくなるリスクがあります。

投資回収年数を試算して、続行か撤退かを判断する

最後に考えるべきは「投資を何年で回収できるか」です。

たとえば300万円かけて民泊を開始して、年間30万円の利益なら初期投資が返ってくるまでに10年かかります。


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10年の間に制度変更や観光需要の低下が起きれば、計画は簡単に崩れます。

安全に見て5〜7年で回収できるかどうかを基準にすると、続けるかやめるかの判断がしやすいです。

もし計算上どうしても投資回収に10年以上かかるなら、無理に参入せず撤退を考えるのが現実的です。

民泊に向いている投資家

民泊は誰でも簡単に収益を出せるわけではありません。

すでに複数の物件を持ち、家賃収入によって安定した資金の流れがある方は民泊に向いています。

なぜなら、空室が一部屋出たとしても全体の収益には余裕があり、その空室を活用する形で民泊に挑戦できるからです。

たとえば、所有している物件の一部屋が退去になったときに、その部屋だけを改装して民泊に転用する方法を考えてみましょう。

一部屋だけを改装する場合、生活費を脅かすことなく、新しい収益モデルを試せます。


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また、ある程度の自己資金を持ち、初期投資に耐えられる投資家も民泊に適しています。

確かに、初期投資として家具や改装に数百万円かかるかもしれません。

しかし、その後の運営で赤字になっても生活が成り立つ余裕がある方なら、短期的な収益変動に振り回されにくいのです。

さらに、投資経験があり、不動産運営に関する数字の見方を理解している方も向いています。

収益計算や回収年数を冷静に判断できる力がある方なら、次のような「民泊特有のリスク」を把握しながら運営できるためです。

リスク項目 内容
稼働日数の制限 年間180日まで、利益の上限あり
立地による収益差 ・観光地・空港沿線は予約が入りやすい
・宅地は赤字リスク大
初期投資と回収の難しさ ・改装・家具・消防設備に数百万円
・回収10年以上で撤退例あり
住民との摩擦・規約違反 ・騒音
・ゴミ問題
・マンション規約違反で民泊禁止のケースも
運営の手間と外注コスト ・清掃
・鍵渡し
・備品管理の外注によるコスト増
・自主管理は時間負担大

民泊に向いていない投資家

不動産投資の経験が浅い初心者は、民泊の運営に向いていません。

民泊は通常の賃貸よりも運営が複雑で、法律や規制、稼働率の変動に左右されます。

経験がないまま「儲かりそうだから」と始めると、想定外の出費に耐えられないことも。

そうした場合、撤退を余儀なくされます。

また、サラリーマン投資家のように本業が忙しく、資金にも時間にも余裕がない方も不向きです。

民泊は清掃や備品管理など細かい対応が必要。

すべて外部委託するとコストがかさみます。

片手間でやろうとすると、利益がほとんど残らないこともあります。


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さらに、最初から「民泊をやるために物件を買う」という考え方も危険です。

立地や建物の条件が民泊向きでなければ、思ったように予約は入りません。

ローンの返済が重荷になるだけです。

現実には、通常の不動産投資を進めていく中で条件が整った物件があれば民泊に活用する、という流れが妥当です。

こうした特徴に当てはまる方は、民泊に手を出すよりも、まずは安定した通常の不動産投資で経験と資金を積み重ねることが安全です。

民泊ではなくまずは通常の不動産投資から始めるべき!初めての一棟投資のご相談はVision Bridgeへ

民泊は立地や建物の条件が整っていなければ利益を出すのが難しく、法律やコストの壁もあります。

経験が浅い投資家が安易に参入すると、思わぬ赤字や撤退リスクに直面するでしょう。

だからこそ、最初は安定した通常の不動産投資から始めるべきです。


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一棟投資であれば資産形成の基盤を築けるうえ、経験を積みながら将来の選択肢を広げられます。

株式会社Vision Bridgeは、一棟収益不動産に特化したコンサルティングを行い、購入から管理、売却まで一気通貫で支援しています。

初めての一棟投資を検討される方は、ぜひ私たちにご相談ください。